緋色の研究(コナン・ドイル)のあらすじと感想|シャーロック・ホームズシリーズ1巻目

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緋色の研究(コナン・ドイル)とは

「緋色の研究」とは、著者のコナン・ドイルが1886年に書いた名探偵シャーロック・ホームズとワトソンの最初の事件です。
ホームズとワトソンがベイカー街221番地Bで共同生活することになったきっかけなどが書かれているので、ホームズ作品を読みたい人はまず先にこちらの作品を読むことをおすすめいたします。

今回は「緋色の研究」の感想を語っていきます!




「緋色の研究」のあらすじと登場人物

あらすじ

文学の知識─皆無、哲学の知識─皆無。
毒物に通暁し、古今の犯罪を知悉し、ヴァイオリンを巧みに奏する特異な人物シャーロック・ホームズが初めて世に出た、探偵小説の記念碑的作品。

ワトスンとホームズの出会いから、空家で発見された外傷のないアメリカ人の死体、そして第二の死体の発見……と、息つく間もなく事件が展開し、ホームズの超人的な推理力が発揮される。

ワトソンが戦争から帰還し住む場所をロンドンで探していたところ、知り合いのスタンフォード青年から一人部屋が余ってるやつがいると入ってホームズを紹介されます。
それがワトソンとホームズの最初の出会いで、ホームズの居住地にワトソンが転がり込むことになります。

そしてある日、空き家でドレッバーという紳士の死体が発見され、警部に調査を依頼されたホームズはワトソンと共に調査に乗り出します。

物語は長編よりもボリュームは少なめですが、かなり面白い事件となっているのでぜひ読んでほしい作品です。

登場人物

シャーロック・ホームズ:私立探偵

ジョン・H・ワトスン:医者

グレグスン刑事:イギリスのスコットランド・ヤード

レストレイド刑事:イギリスのスコットランド・ヤード

イーノック・ドレッバー:金持ちの中年男性

ジョゼフ・スタンガスン:ドレッバーの秘書

ルーシィ・ファリア:モルモン教の信者

ファリア:モルモン教の信者、ルーシィの養父




「緋色の研究」の感想(ネタバレあり)

ホームズシリーズの初登場回にしてこの面白さは、さすが名作と言ったところで恐れ入りました。
ミステリーとしても、物語としてもかなり面白くてファンが根強いのもわかります。

この作品は1、2部と別れているのですが、1部ではいまいち事件の真相がわからなかったところを、2部で事件の真相が明かされる作りになっています。
とてもシンプルですが、2部の物語がかなり読者の同情を誘う物語になっていて、冒険ものとして面白かったです。

ロウリストン・ガーデン事件

ホームズの見事なところは、一回目の事件であるドレッバーが死体の現場調査でほとんど5割がた解いてしまったのがすごかったです。
壁に書いてあったracheという謎のキーワードを、犯人の引っ掛けだと見抜いたのはほとんど神業だと思います。(現実にはできるのか…?)

その後に結婚指輪を餌に犯人を引っかけようとしたのもよかったのですが、犯人のほうが一枚上手だったのが面白い展開でした。
しかし結果的に犯人の姿を暴いたのでホームズはすごすぎです。
読者にフェアなミステリー作品ではありませんでしたが、中々面白かったです。

第二部の悲恋

緋色の研究を面白くさせたのはなんといっても、第二部の悲劇の物語です。
ここでは三人称視点で過去の振り返っていて、犯人がなぜ殺人を犯したのかが語られる重要な回でした。

まず、一人の老人と一人の少女がとある集団に命を助けられたところから物語は始まります。
そのとある集団とはモルモン教という宗教団体でした。彼らは各地を巡礼しながら集団移動していました。
老人と少女が助けられた時、信者になることを約束され、モルモン教に奉仕する形で二人は働くようになりました。

時は経て、少女ルーシィが成人になった時、モルモン教の決まりで信者の中の男性と結婚するように迫られます。
彼女はすでに一人の青年ジェファスンと恋仲になっていたため断るのですが、モルモン教のルールは大変厳格で、結婚を断ると厳重な処罰が待ち受けていました。
ファリア家族とジェファスンは命からがらモルモン教の縄張りから逃げ出すのですが、ジェファスンが目を離したすきにファリア老人は殺され、ルーシィは連れ去られます。

この章が一番悲しくて恐ろしかったです。老人と少女は死にかけていたところをモルモン教に救われたので、その時点でどうしようもない運命が待ち受けたのだと思うとやりきれません。
ちなみにモルモン教は現実の実態とは異なっているそうなので誤解するなと注意書きが書かれています。
でもぶっちゃけ現実にも風習として残っていそうで、恐ろしすぎました。

過去回想が終わり、最後の犯人の自白には悲しみしかなくて、なんともやりきれない事件でした。

緋色の研究の意味は?

読んでいて結局タイトルの「緋色の研究」ってどういう意味だったんだ?と疑問に思ったのでもう一度読み返してみました。
実は物語の中で、ホームズが巡査から事件の話を聞いた後にこう言っています。

…人生という無色の糸かせには、殺人という真っ赤な糸がまざって巻き込まれている。
それを解きほぐして分離し、端から端まで一センチきざみに明るみへさらけ出してみせるのが、僕らの任務なんだ。

なぜ殺人を真っ赤な糸と表現したのかというと、西欧では赤には危険というイメージがあったため、無色の中に交じる赤は異物的存在と表現したんだと思います。日本での赤のイメージは情熱、暑さ、スイッチのオンの色、などのイメージがあります。

すでにこの時点で、ホームズは自分の仕事が社会的な行動意義を見出していたことに、人間味を感じます。かなり正義感溢れる人間だったんですね。




まとめ

久しぶりにホームズを読みましたが、大人になってから読んでもかなり面白くてとても良かったです。
実はワトソンが苦手でそこまで好きじゃなかったのですが、彼がいるからこそホームズのキャラクターが活きてくるんだなと思います。
次の物語も楽しみです。