「髑髏城」(ジョン・ディクスン・カー)とは
「髑髏城」とは、アメリカ作家のジョン・ディクスン・カーが1931年に執筆したバンコランシリーズ3巻目です。
髑髏城とは一体なんぞやと思うでしょうが、さる有名な稀代の魔術師が建てた建造物のことで、今回はここで不可解な事件が巻き起こります。
今回は「髑髏城」について感想を語っていきます!
バンコランシリーズの読む順番について
予審判事バンコランシリーズについては、以下でご紹介しています。
アンリ・バンコランシリーズ(ディクスン・カー)の読む順番一覧|全6巻完結
「髑髏城」のあらすじと登場人物
あらすじ
ドイツ・ライン河畔に聳える奇城”髑髏城”。
城の持ち主であった稀代の魔術師がなぞのしを遂げてから17年が経った。
そして今、城を継いだ男が火だるまになって胸壁から転落、凄絶な最期を迎える。予審判事アンリ・バンコランは事件の捜査に乗り出すが、そこで彼は好敵手フォン・アルンハイム男爵と邂逅を果たすーーー。
古城を舞台に火花を散らす仏独二大名探偵の推理。
今回は、バンコランVSフォン・アルンハイム男爵の推理合戦です。髑髏城で起こった凄絶な殺人事件の犯人を調査します。
始まりは、髑髏城に滞在するドネイから事件調査を依頼され(焚きつけられ)ます。
なんでも髑髏城の主マイロンが、火に焼かれながら死んでいく殺人事件が起こったのです。
事件に興味を持ったバンコランが先に現場に行き、助手のジェフは後から合流することになりました。
しかし、バンコランはドネイが運転する車の大事故に巻き込まれしまい、危うく殺される羽目に陥りました。
そんな愉快?な始まりから調査が始まり、途中で敵のフォン・アルンハイム男爵が参加し、物語はどんどんカオス的な感じになっていきます。
以前からバンコランとアルンハイム男爵はバチバチに殺りあった仲のようですが、途中でバンコランが話してくれる情報戦の話はユーモアあって笑えます。(実際にあったら恐ろしいですが・・・)
バンコランファンには見逃せない一冊です。
登場人物
・アンリ・バンコラン:パリの予審判事
・ジェフ・マール:バンコランの友人。語り手
・マリーガー:稀代の魔術師。”髑髏城”の元城主
・マイロン・アリソン:俳優
・アガサ・アリソン:マイロンの妹。「公爵夫人」
・ジェローム・ドネイ:大富豪
・イゾベル・ドネイ:ジェロームの妻
・サリー・レイニー:アリソン邸の客人。画家
・マーシャル・ダンスタン:アリソン邸の客人。
・エミール・ルヴァスール:アリソン邸の客人。音楽家
・ホフマン:アリソン邸の執事
・ブライアン・ギャリヴァン:新聞記者
・コンラート判事:ベルリン警察の捜査官
・アルンハイム男爵:ベルリン警察の主任捜査官。バンコランの好敵手
「髑髏城」の感想(ネタバレあり)
なかなか面白かったです。ただちょっと読みにくくて途中でダレてしまったのがキズでした・・・。
物語の時間軸が分かりにくくて、苦手な人がいるかもしれません。カーが初めての人にはおすすめできません笑。
あと一番驚いたのが、前作の「絞首台の謎」とは打って変わって、バンコランが優しかったことです。びっくり!!
あんなに悪魔的存在だったのに、最期の展開どうした?とちょっと笑いました。
バンコランとアルンハイム男爵の対比(解説面白かった!)
ミステリーにはかなり良くできていて、青崎さんの解説が非常に面白かったです。
彼曰く、メインの事件は17年前に起こったことだからバンコランの口から推理させるとちょっと説得力無くなっちゃいます。(証拠があったとしても)
メインの事件とは、マリーガーの列車から消えた事件のことです。
なので一連の事件の推理を、もう一人のアルンハイム男爵に語らせて、証拠を提示させる。
そのあとバンコランにその証拠を元に推理させて真犯人を語ってもらう。
そういう流れによって、バンコランの推理を際立たせた、という作りだそうです。
解説を読んで、なるほど〜!と思わず感嘆してしまったのですが、作り的にはカーの作品の中でもかなりクオリティが高い作品だということが伺えます。
本編読み終わったあとに、解説もきっちり読むと面白いですよ。
物語の盛り上がりが・・・
個人的に思ったのが、読みづらさと物語の盛り上がりに欠けていて、勿体なかったです。
最初にドネイがバンコランを痛い目に合わそうとしたのも拍子抜けでしたし。
髑髏城の中の地図などが一緒に添付してあればもっと楽しめたかもしれません。
カーの初期作品だからか、シリーズの1、2作目より微妙だったのがどうも許せないです。忘れた頃にもう一回読みたいです。
「夜歩く」の方は面白かったので翻訳のせいではないと思いますが、果たして。
まとめ
まさかの解説が一番面白かった、という結論になった作品でした。
読みづらい作品があるとどうしてもそういう感じになりますが、原書を読むとまた違った感想になるのかもしれません。
諦めずに次の巻も読もうと思います!