「ローマ帽子の秘密(エラリー・クイーン)」とは
「ローマ帽子の秘密」とは、著者のエラリー・クイーンが書いた、国名シリーズの1巻目になります。
1929年に出版された名作ミステリーで、エラリークイーン初登場回です。今読んでもかなり面白いです。
ちなみに角川文庫のイラストは、竹中さんという方です。
国名シリーズ全て担当しているようなので、ぜひチェックしてみてください!
今回は「ローマ帽子の秘密」をご紹介いたします。
国名シリーズについて
今回のシリーズの読む順番については以下でまとめています。ぜひご覧ください!
【最新版】国名シリーズ(エラリークイーン)の読む順番一覧|全11巻完結済み|新訳”日本カシドリの秘密”登場!
「ローマ帽子の秘密」のあらすじと登場人物
あらすじ
ブロードウェイのローマ劇場で異常自体が発生。劇の進行中に、ほぼ満席状態の観客席から男の毒殺死体が発見されたのだ。騒然とする劇場に颯爽と現れたのは市警きっての名捜査官リチャード・クイーン警視。
そしてその息子で、推理作家にして天才探偵のエラリー・クイーン・劇場から忽然と消え失せた被害者のシルクハットの謎を追う!
ローマ劇場で「銃撃戦」という舞台で観客が熱狂していたころ、観客の一人が死体を発見します。
現場に駆けつけたリチャード・クイーン警視はすぐさま死体の分析を行った結果、その死体が悪徳弁護士として有名なベンジャミン・モーガンということがわかります。
そして身元からは女性のハンドバック発見され、死体が座っていた席は周りが空席、怪しい容疑者が何人か居合わせているという状況です。
さらにリチャードと共に駆けつけたエラリーも、死体が持ってるはずの帽子がないということに気づきます。
入場するときには被っていたはずなのに、なぜその場にないのか?
まさかの帽子が鍵となる本事件は、予想外の展開に驚くこと間違いありません。
読者への挑戦
さらに面白い仕掛けが、本作には仕掛けられています。
なんと種明かし前に、「読者への挑戦」という著者からの問いかけが入っているのです。
著者曰く、ここまでの情報を推理すればおのずと犯人と犯行方法がわかるだろうということです。
ぜひ今から読む人は挑戦してみてください!
ちなみに、このエラリーの手法をリスペクトした国内ミステリー作品はいくつかあります。
どれも面白いのでぜひ読んでみてください!
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登場人物
・エラリー・クイーン:推理作家
・リチャード・クイーン:警視
・モンティ・フィールド:弁護士
・ベンジャミン・モーガン:弁護士
・チャールズ・マイクルズ:フィールドの従者
・アンジェラ・ラッソー:フィールドの愛人
・スティーヴン・バリー:出演男優
・ルイス・パンザー:ローマ劇場の支配人
・マッジ・オコンネル:案内係
・ジェス・リンチ:オレンジエードの売り子
・フランシス・アイヴズ・ポープ:大富豪フランクリンの娘
・ジョン・カザネッリ:小悪党
・トマス・ヴェリー:部長刑事
・ヘンリー・サンプソン:地方検事
「ローマ帽子の秘密」の感想(少しネタバレあり)
私はこの作品を何度も読んでいるのですが、何度読んでも新しい発見があるし、本当に面白いです!
昔の作品ですが読みやすくなっているので、案外初めて読む人でも読みやすいのではないでしょうか。
一番の見所は、
・帽子がこの事件でどうキーポイントになっていくのか
・犯行方法はやり方を知っていたら誰でも可能
という点が面白いところです!では、以下詳細です!
帽子、帽子、帽子
さて、ここからは事件ついて少しまとめたいと思います。(だいぶはっしょってます)
今回亡くなったモンティ・フィールドは、裏で大規模な犯罪に加担していたと噂されるほどの悪人でした。
ただ、投資で常に金がない状態で、人の弱みを握っては脅して金を巻き上げるなどを行なっていたようです。
警視が調査していたある時、フィールドのプログラムが発見され、そこには”50,000″という数字が落書きされていました。
恐らく劇場にて脅している人間と取引予定だったようですが、その相手がわかりません。
そこで鍵となったのが彼の帽子です。
実は彼の帽子には取引に重要なアイテムが隠されているとエラリーが推理したのですが、ここでエラリーの最初の推理を思い出します。
「犯人は、前もって帽子が重要だと知らなかったのではないか」
帽子がなくなった時点で犯人が持ち去った可能性が高いのですが、もし犯行前に帽子が重要だと知っていたら代わりの帽子を置いたはずです。
しかし現場にはないということは、犯行後に持っていかなきゃいけなかった、ということになります。
ここまでわかるとおのずと犯人が絞られます。
個人的に一番面白かったところで、謎解きの部分は読んでいてワクワクしました。
リチャード警視の大活躍と裏方のジューナ
本作は一応エラリーが主人公のはずなんですが、全然そんなことなくてリチャード警視がメインで事件を解決します。
エラリーの華麗なる謎解きが見たい人には物足りないと思うのですが、リチャード警視の地道な捜査によって解決へとなるのが個人的にとても面白かったです!
少しずつ事実がわかる過程を楽しめる人は楽しめると思います。
ただ最後はエラリーからのアドバイスによって、リチャード警視が犯人を罠にかけて犯人を捕まえるので、一応陰ながら暗躍した感じですね。
その展開も結構面白かったです。
また、クイーン家の召使ジューナがとても癒されました。
まだ子供だからか、ちょっとした言動と行動が明るくてとても可愛かったです。
次回以降の事件でたしか活躍するはずなので、読むのが楽しみです!
謎のJ.J.マック氏とエラリーの妻
今回最初の語り手から登場したJ.J.マック。実はエラリー・クイーンシリーズで登場するのはこの巻と次の巻だけです。
というのも全巻読んだ時に注意してみたんですが、一切登場しませんでした。(誰やねんマック!)
そして、エラリーが結婚している設定になっていましたが、それの設定もこの巻だけです。
しかも息子までいるし。
著者的には最初はこの設定でいこうと思ったのでしょうか?
せっかくならこの先も登場してほしかった気もしますが、もしどこかで登場していたならぜひ誰か教えて欲しいです!
まとめ
すでに名作ではありますが、まだまだ知らない人にぜひ読んで欲しいミステリー作品です。
まだ読んでいない方はぜひ読んでください!どうかお願いします!
エラリー・クイーンの作品について
今回のシリーズや他のシリーズの詳細については、以下でまとめています。合わせて御覧ください!
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