「ナイフをひねれば(アンソニー・ホロヴィッツ)」とは
「ナイフをひねれば」とは、著者のアンソニー・ホロヴィッツが書いた、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの4巻目になります。
今作もよく出来ているミステリーで、シリーズを読んでいる方は必須の巻です。
今回は「ナイフをひねれば」をご紹介いたします。
アンソニー・ホロヴィッツの作品について
今回のシリーズや他のシリーズの詳細については、以下でまとめています。合わせて御覧ください!
ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ(アンソニーホロヴィッツ)の読む順番一覧|未完結
カササギ殺人事件シリーズ(アンソニーホロヴィッツ)の読む順番一覧|未完結
「ナイフをひねれば」のあらすじと登場人物
あらすじ
われわれの契約は、これで終わりだ」彼が主人公のミステリを書くことに耐えかねて、わたし、作家のホロヴィッツは探偵ホーソーンにこう告げた。
翌週、わたしの戯曲を酷評した劇評家の死体が発見される。凶器はなんとわたしの短剣。
かくして逮捕されたわたしにはわかっていた。自分を救ってくれるのは、あの男だけだと。“ホーソーン&ホロヴィッツ”シリーズの新たな傑作!
今回は、まさかのホロヴィッツとホーソーンのタッグが解消されてしまう危機に陥ります。
ホロヴィッツは度重なる命の危険に嫌気が差して、ホーソーンに契約解消を申し出ます。
そして実際に一度切れてしまうのですが、その後ホロヴィッツが殺人事件の容疑者として捕まってしまいます。
凶器からは自分の指紋が出ていたりと状況証拠も揃っている状態で、八方塞がりだったホロヴィッツはついにホーソーンに助けを求めます。
見返りに今までの契約を続行することを約束させられ・・・
果たしてホロヴィッツは本当に殺人を犯したのでしょうか?
登場人物(少々ネタバレ)
・ダニエル・ホーソーン:元刑事。色々あってロンドン警視庁の顧問で、警察の案件を受けて捜査している
・アンソニー・ホロヴィッツ:本作の語り手。「アレックス・ライダー」など著名な作家
・ジョーダン・ウィリアムズ:ファークワー博士を演じる俳優
・チリアン・カーク:マーク・スタイラーを演じる俳優
・スカイ・パーマー:ブリンプトン看護師を演じる俳優
・アフメト・ユルダクル:演劇プロデューサー
・モーリーン・ベイツ:アフメトにアシスタント
・マーティン・ロングハースト:アフメトの会計士
・ユアン・ロイド:演出家
・キース:ヴォードヴィル劇場の楽屋口番代理
・ハリエット・スロスビー:サンデー・タイムズ紙の劇評家
・アーサー・スロスビー:ハリエットの夫
・オリヴィア・スロスビー:ハリエットの娘
・スティーヴン・ロングハースト:モクサム・ヒース小学校の元生徒
・トレヴァー・ロングハースト:スティーヴンの父
・アナベル・ロングハースト:スティーヴンの母
・ウェイン・ハワード:スティーヴンの小学校時代の友人
・フィリップ・オールデン:モクサム・ヒース小学校の元副校長。故人
・ローズマリー・オールデン:フィリップの妻
・エイドリアン・ウェルズ:ブリストル・アーガス紙の元編集主任
・フランク・ヘイウッド:ブリストル・アーガス紙の劇評家。故人
・カーラ・グランショー:警部
・ダレン・ミルズ:巡査
・ケヴィン・チャクラボルティ:ホーソーンの隣人の青年
・ヒルダ・スターク:ホロヴィッツの著作権エージェント
「ナイフをひねれば」の感想(少しネタバレあり)
今回もよく出来たフーダニットのミステリー作品でした。
ぐいぐい読ませる力は非常に強い作品だったので、さすがホロヴィッツです。
以下詳細に語ります。
そもそもどういう事件だったのか?
メインの事件について振り返っていきます。
今回の事件は、ハリエット・スロスビーという批評家が自宅で殺害されるという殺人事件でした。
凶器に使われたのは、ホロヴィッツがアメフトというプロデューサーに贈られた短剣です。
事件前夜にホロヴィッツが一度触ってしまったので、指紋がべったりでした。
プラス防犯カメラに写っていた男の容姿と、容疑者が現場に残していった上着のポケットにホロヴィッツの髪の毛が検出されたことから、ホロヴィッツが容疑者になってしまいました。
読者としては、ちょっと抜けてるホロヴィッツがやっていないだろうということはわかっているのですが、被害者に対して恨みを持っている容疑者が何人かいて、中々絞り込めません。
ただ、今回の事件の鍵は「被害者の机に残された本」でした。
それをしらみつぶしに辿っていくと・・・という感じで犯人の動機や容疑者の背景が明かされていく展開はとても良かったです。(詳細は本書を読んでください)
また、アガサクリスティお得意の、”人間の表面上に見えている姿と真実の姿は異なる”という描写が、ホロヴィッツも絶妙にお上手で面白かったです!
ホーソーンの謎
相変わらずホーソーンについてのプロフィールはよくわかっていませんが、今回も少しだけ明かされました。
今回はホロヴィッツがホーソーン宅に匿ってもらうときに、勝手に家探ししてホーソーンの人となりを調べます。
今回わかったことは、以下です。
・ホーソーンの両親は亡くなっており、義理の兄のところへ養子に出されていた
・亡くなった詳細は不明
・リースで両親と暮らしていた
前回の感想では「デレク・アボットとホーソーンの関係から察するにホーソーンの子供(もしくはリースにいた頃に知り合った子供など)が何かしらデレク・アボットに関わって危害を加えられたのでは」と予想していました。
ただ、今回のことを考えると、ホーソーンの子供ではなくてホーソーン自身がデレク・アボットに関わって危害を加えられたのではと思いました。
その関連で両親を亡くしたのかもしれません。義理の兄が「ひどい話です」と言っているので、かなり大きな事件だったと想像できます。
個人的にな想像ですが気になってしょうがないので、次回ホロヴィッツがリースに行ってホーソーンについて調査してくれないでしょうか。
もう一点気になることとして、今回ホーソーンとホロヴィッツが契約したのは7巻まで、ということが不思議でした。
現実の著者曰く、シリーズは10巻まで構想してるそうなので、残り3巻は一体どんな展開になるのでしょうか。
この先がかなり楽しみです!
まとめ
今回も読み応えのあるミステリーでした。
ただ個人的にはミステリーを読みすぎて、もう少し物語の展開に捻りがあったら面白かったなというのが正直な感想です。
というかシリーズの1巻「メインテーマは殺人」が面白すぎました・・・
まだ読んでない方はぜひご一読ください!