「黄昏の百合の骨」とは
「黄昏の百合の骨」とは、恩田陸が執筆した前作の「麦の海に沈む果実」の続編です。
個人的には前作よりも面白かったので、ぜひ1巻を読んだ方は2巻目も読んでみてほしいです。
今回は「黄昏の百合の骨」について感想を語っていきます。
理瀬シリーズの読む順番について
理瀬シリーズの読む順番については、以下の記事でご紹介しています。ぜひ全巻チェックしてみてください。
理瀬シリーズ(恩田陸)の読む順番まとめ|人気ゴシックミステリーシリーズ
「黄昏の百合の骨」のあらすじ
あらすじ
強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。
奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母2人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。
「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。将来への焦りを感じながら理瀬は――。
今回は理瀬が長崎の祖母の家に戻ってきたことで起こる事件の物語です。
前作では周辺が湿地しかない北海道の学園でした。
その際はタイトルが「麦」だったので、今回は百合なので、もしかしたらこのシリーズは花繋がりかもしれませんね。
魔女の家と呼ばれる家は、「白百合荘」といって白百合がいろんなところに飾ってあり辺りに匂いが香る家です。
亡き祖母の遺言で、半年以上滞在しなければならない理瀬は、ある目的を持って周辺調査を始めます。
そして同時に叔母である2人の姉妹も、理瀬の目的を探りながら、白百合荘で共同生活を始めるという、状況から物語はスタートします。
その状況で次々と不可解な出来事が・・・動物の毒殺事件や生徒の失踪事件などが起こります。
果たして誰が犯人なのか?何故理瀬の周りで起こるのでしょうか?
「黄昏の百合の骨」の感想・考察(ネタバレあり)
今回はかなり面白かったです。
白百合荘という亡き祖母の家で展開される事件は、色々な要素が混ざり合って不思議な魅力があり、最後が目が話せない物語となっています。
せっかくなので家系図を整理しておきます。間違ってるかもしれませんが、その際はご了承ください。
このように今回は従兄弟や叔母が登場します。こうしてみると祖父と祖母の間の子供はいないんですね。不思議。
どんだけ複雑な家系なんだ・・・という感想が出るくらい読んでるとわけわからなくなっていきます。
以下気になった点をピックアップしていきます。(ネタバレありなのでご注意。)
理瀬と亘について
少しずつ明かされる理瀬の一族についてですが、父の学園に入学する前に仲良くしていた従兄弟が登場します。
従兄弟は理瀬の父の一番上の兄の子供なんですが、稔(兄)は裏側の人間で、亘(弟)は表側の人間です。
素質の問題なんでしょうが、亘はずっと理瀬たちのように裏側の人間に居たかったと言います。それでもって理瀬のことが好きだったと。
理瀬は何を思ったか、最後の最後で亘と寝ます。
彼女は「亘は自分の少女時代だったからここで決別をつける」とか言っていましたが、他人視点で見ればただの自分勝手な女です。
亘は絶対忘れないだろうな・・・と思いながら読みました。
最後の2人の少年について
最後の最後で、理瀬がイギリスへと旅立つ時に2人の少年も準備を始めたという一文がありました。
2人とも近い将来、理瀬と再会するそうなんですが、それを気づいている人は雅雪で、気づいていない人は朋子の弟の慎二だと思います。
亘や稔だけでなく、雅雪と慎二までをも籠絡するとは理瀬の魔性の女っぷりに驚きます。すごいなこのヒロイン。
恐らく彼女の一族の女性はみんなこんな感じなんだと予想します。
前半の日記について
これは今でも謎なんですが、前半戦で誰かの日記が時々書いてありました。
最初は叔母の梨南子かと思いましたが、101ページで亘が大好きと書いてあったので朋子かなと思ったのですが、そうすると他の日記の内容と辻褄が合いません。
梨南子は特に亘が好きじゃなかったみたいですし、そうすると消去法で梨耶子だったのかなとも思いましたが、よくわかりませんでした。
わかった方、情報求む!
理瀬の祖母について
理瀬の祖母についてですが、理瀬のように何か特別な力を持っていそうです。
祖母が朋子を見かけた時、何故か厳しくしていたと言っていたので、他人が考えてることがわかるのかもしれません。
また、祖母の家系は代々男が短命という事実も明かされたたので、もしかしたら力と何か関係があってもおかしくないかと思います。
いずれにしてもそこらへんが次巻でも明かされることを期待します。
まとめ
前作に引き続き、本来の理瀬が出てきて、愉快な巻となりました。
彼女が少女であることを捨て、将来のために突き進んでいくことを決めたということは、最終的には父の学園を引き継ぐことでしょうか。
彼女が何をそうさせたのかは不明ですが、これからどんどんいろんな男性を魅了しながら魔女っぷりを上げていくのでしょう。
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