書斎の死体(アガサ・クリスティ)とは
「書斎の死体」とは、著者アガサ・クリスティの名探偵マープルシリーズ2巻目にあたるミステリー小説です。
マープルといえば、ポアロシリーズと違って事件やミステリの派手さはない物語が多いです。
今回も派手ではないのですが、マープルの人間を見抜くところがかなり面白くて、ぜひ大人におすすめしたい作品でした。
それでは書斎の死体について感想を語っていこうと思います!
ミス・マープルシリーズの読む順番について
こちらのシリーズについては以下で解説しています。ご興味ある方はぜひ御覧ください!
【決定版】ミスマープルシリーズ(アガサクリスティ)の読む順番一覧|完結済み
アガサ・クリスティのおすすめ作品については以下でご紹介しています。
【全世界】アガサクリスティのおすすめランキングTOP22|初心者も読みやすい隠れ名作もご紹介
書斎の死体(アガサ・クリスティ)のあらすじ
あらすじ
書斎に転がる死体なんて探偵小説の中だけ―が、現実に見知らぬ女性の死体が大佐の書斎で発見された。深まる謎を解くため、ミス・マープルが駆り出され、まもなく被害者と“マジェスティック・ホテル”の関係が明らかになるが…クリスティーが「ありふれた設定」を「意外な展開」でみせる渾身作。
とある朝、アーサー・バントリー大佐の家の書斎で、見知らぬ女性の死体が発見されました。
大佐や大佐の妻にとっては知らない女性なんですが、よくよく調べて被害者の知り合いだろう人に顔を確認すると、あるダンサー(ルビー)と特定されました。
そこから殺人の容疑者を探すのですが、中々捜査は難航し・・・。
この事件を捜査するのは、メルチェット大佐やスラック警部、ハーパー警視などが担当します。
ほとんどが第三者の視点で物語が進み、マープルは最後らへんくらいしか登場しません。
事件の謎解きは最後の5ページくらいからという、ぎりぎりのところで明かされますので、最後まで目が離せない作品となっています。
物語の時代背景
この物語は太平洋戦争に入る前の時間軸です。
しかし事件自体はセント・メアリ・ミード村という小さな村が舞台なので、戦争中ということを感じさせません。
またこの時代は階級制度で、上流階級・中流階級・労働階級・下流階級と別れていて、上流階級の人たちは醜聞一つでも広まったら村からの評判がガタ落ちになってしまいます。(怖すぎる・・・)
今回被害者が見つかったのがバントリー大佐の書斎(上流階級)でした。
瞬く間に村に醜聞が伝わってしまい、バンドリー夫妻は大慌てになって、バンドリー夫人の友人であるマープルに調査依頼をします。
実写ドラマもある
ちなみにこの作品はBBC(イギリスの放送局)でドラマ化もされています。
個人的に見応えがあって面白かったので、気になる方は観てみてください!
今回はシーズン1の1〜3話になります。
配信されている動画サービス
※各リンクをクリックすると、直接「マープル」の動画ページに飛びます。
基本的にどこの配信サイトも30日間は無料なので、お試しで入ってみてもいいかもしれません。
ちなみに私はアマゾンプライムに入ってるので、そちらで見ました。
書斎の死体(アガサ・クリスティ)の感想(ネタバレあり)
個人的には前作の「牧師館の殺人」よりも面白かったです。
特に、人間の描写が巧みで読者をも欺くほどで、犯人が絞り込めずに最後の最後までわからなかったところがとても良かったです。
今回の謎は、
・なぜバントリー大佐の書斎で死体が見つかったのか?
・この死体は誰なのか?
が最後まで謎として残ります。
最初から事件がおかしい
恐らく読んだ方なら全員気になるところだと思いますが、この事件の始まりが非常に奇妙です。
死体が無関係のアーサー・バントリー大佐の書斎で発見され、大佐一家には見覚えがないと主張していることに違和感を覚えます。
ここで、大半の人が「どうせパントリー大佐の愛人じゃないの?」などと想像しますが、実は最後まで全くパントリー大佐は登場しません。
後半の佳境で、書斎に死体があったことの理由が明らかになります。
いやーこれはアガサ・クリスティにやられました。
登場人物たちの思わぬ関係性
マープルシリーズの醍醐味といえば、「登場人物たちの意外な関係性」が段々と明らかになっていく点です。ここが面白い。
よく作中でマープルは、「人間の言うことを疑うこと!」と言っていますが今回も大いに疑いましょう。
私は全て鵜呑みにしてやられました。(うーん・・・)
大いなるネタバレになってしまうのですが、とある人が結婚していたことが発覚する場面があり、驚きました。
一応著者もヒントを残していたみたいで、読み抜けなかったことが非常に悔しかったです。
謎解きの後のオチも、恐らく読者みんながびっくりしたんじゃないかなと思ってます。そこも嘘だったのか・・・と。
まとめ
最後の最後まで全く油断できない巻でした。
伏線があちらこちらにあって、基本的に読者はマープル以外は信用しないほうがいいんだなと今回学びました。
ポアロよりもマープルのほうが直感に優れてるんじゃないかなと思ってます。(大規模な事件になるとまた別なのか・・・?)